民間保険はいらないのか?

聞けば民間保険に入っている人がえらく多い。何事も心配しがちな日本人の国民性によるのもあるだろうが、色んな保険に入りすぎて家計の収支がカツカツになっている保険貧乏な家庭をみるにつけては、ちょっと行き過ぎな状況のようにも思う。

 

民間保険に払い込んだ掛金に対し得られる金額の割合は、正確なデータはないものの、平均にするとだいたい7割くらいではないかと言われている。このいわゆる還元率は保険会社や保険商品によって大きならばらつきがあるようで、都道府県民共済のように9割還元の所もあれば、先進医療特約など1割還元の商品も中にはありそうだ。保険会社を運営する以上、人件費を含む経費がかかってくるのは当然のことで、その分保険に加入する人が平均として元を取れない構造になっているのは当たり前の話ではある。イベントが起こった時にお金がもらえるけど、平均的な還元率は100%超えることはないというビジネスであるという点では宝くじに似ている。

 

 

なぜみんな保険商品を買うのかというと、事故や火災、高度障害を負ってしまい、自分一人では対応できない多額のお金が急遽必要になった場合に備えるためである。もしくは自分で支払える額であっても大きな額を支払うリスクを減らすためだろう。そういったリスクを緩和してくれるサービスにかかる手数料を保険会社に支払っているといった見方が自然だと思う。

 

もちろん保険会社側が利益を上げるためにイベントリスクを消費者に過剰に見積もらせて、公的社会保険がある中で本当はそこまで必要のない保険商品に加入させていると言う側面があるのは否定できないし、逆に消費者が無知が故に無いもの有るもの怖がって、自ら進んで保険に加入してるというのもあるだろう。

 

ここで、消費者が民間の保険を買わないですむ状態というのはどういった状況であるか考えてみよう。イベントが起こっても自身で賄えるほどの資産を持っていれば保険をもってなくても対応できるだろうし、資産の額が大きいほどリスクを緩和するサービスの必要性は低くなるだろう。

 

健康保険があるのだから、大病をしても1000万円の金融資産があれば民間の医療保険はまずいらないだろうし、小さな子供がいたとしても3000万円あれば生命保険もいらないと思う。自動車保険や火災保険も1億円もあれば加入の必要性は低いのではなかろうか。また自分の取り巻く状況を踏まえて商品を吟味すれば、この価格を更に落とすこともできると思う。

 

要は、お金と情報を持っていると自分でイベントリスクに備えることができるので、保険に入る必要性はなくなるといったことだ。富めるものはますます富めるというのは、保険の場合でも当てはまるようで、資産形成や情報収集の目的は色々あろうが、高い手数料ののった民間保険を買わなくて済むというのもその一つだ。

 

終身積み立て保険とかは払った額以上にお金が返ってきて還元率は100%超えるよ!とかいう人もいるかもしれない。でも、そんな商品にも経費はかかっていて、保険会社の方で高い手数料をとって資産運用しているだけに過ぎない。保険会社にお金を預けずに、自身で資産運用すればその分の手数料は取られずにお金を効率的に増やすことができるだろう。

 

とはいえ、結婚して子供が小さくてまだ資産がそんなにないといった家庭だと、一家の大黒柱に不幸があれば経済的にもいろいろ大変だろう。そんな時は、資産形成できるまでの間に生命保険の掛捨てを利用するのはありだと思う。じゃぁどうやって資産形成するの?かといった話はこちらにまとめている。保険料控除を踏まえた損しにくい保険商品の具体的な選び方も載せている。

 

保険はいらない系の本が数冊あって私も目を通したが、1冊を挙げるとすれば、後田了先生の「いらない保険」が最も参考になるように思う。民間の保険にお金をかけているひとは一度読んでみると具体的な話が載っていて、保険の断捨離がやり易くなるかもしれない。