医者はインフルワクチンを啓蒙すると儲かるのか

 

すっかり秋になってきましたね。もう少し寒くなってくると毎年恒例のインフルエンザの季節です(A;´・ω・)アセアセ

 

以前、僕は下記のツイートをして界隈でちょっと反響がありました。お医者さんがワクチンの啓蒙をするのは、儲かるからではなく使命感でしているからだと!

どやっ(`・ω・´)シャキーン

 

 

さて、今日ツイッターのタイムラインを眺めていると、僕の尊敬しているツイッタラーの内科開業医さとう先生がこんな呟きをされてました。

 

 

このアイコン顔で、”そこが良心だと思うのですよ!”とか言われたら、女性なんかコロコロころりですね(*^ω^*)

 

さて本題に戻りますが、このさとう先生と自分のツイートを見返してみて、僕はふと、インフルエンザワクチン啓蒙した方が医師は儲かるんちゃうかという疑問が生じました。

 

そこで、下記に簡単な検証をして、皆さんに公開したいと思います。

 

計算に用いる数字を先に上げておきます。(概算なので、数字も簡略化してます)

 

・日本の人口:1億3000万人

・日本のインフルエンザ罹患人数/年:1000万人

・インフルエンザワクチンの予防効果:50%

・日本のワクチン接種率:50% 

・インフルエンザワクチンの一人あたり利益:2000円

・インフルエンザ患者診察の一人あたり利益:5000円

 

 それでは順序立てて計算してきましょう!

 

まず、

ワクチンを全員打たない場合のインフルエンザ罹患割合を算出します。

これをXとおいて下記の連立方程式を解きます。

1億3000万*0.50*X*0.50(ワクチン接種群)+ 1億3000万*0.50*X(ワクチン未接種群)=1000万人

X≒0.10

上記の計算から、ワクチンを全員打たない場合のインフルエンザ罹患割合は10%であることがわかりました。

 

続いて、

ワクチンを全員打たない場合のインフルエンザ罹患人数/年

=1億3000万*0.10

=1300万人

ワクチンを全員打った場合のインフルエンザ罹患人数/年

=1億3000万*0.10*0.50

=650万人

 

ワクチンを全員打たない場合

ワクチン接種の利益総額:2000円×0人=0円

インフル診察による利益総額:5000円×1300万人=650億円

ワクチンとインフル診察による合計利益総額:0円+650億円=650億円

 

ワクチンを全員打つ場合

ワクチン接種の利益総額:2000円×1億3000万人=2600億円

インフル診察による利益総額:5000円×650万人=325億円

ワクチン接種とインフル診察による合計利益総額:2600億円+325億円≒3000億円

 

ワクチンの接種人数(X)とワクチンとインフル診察の合計利益総額(y)の関係をグラフ化してみます。

 

1人のインフル受診を減らすのに何人ワクチン接種が必要でしょうか

1÷0.10(インフル罹患率)÷0.50(ワクチン効果)=20本 

ですので、ワクチン接種1人あたりに減るインフル診療利益は、5000円÷20人=250円/人ですね。

 

y=2000X(ワクチン利益)-250X+650億(インフル診察利益)(円)

 

f:id:zettonki:20181011213913p:plain

 

 

結論

医師はインフルエンザワクチンを国民に打つよう啓蒙すればするほど儲かる!

 

もう少し掘り下げましょう。

 

ワクチンを全員打つことができたとすると、650万人のインフルエンザ発症を医療提供者の利益2350億円で防ぐことができることが分かりました。

 

これは、1人のインフルエンザ発症をワクチンを用いて防ぐのに36000円(2350億円÷650万)を医療提供者側に利益を提供しているのと同じですね。これ位の利益であれば、良い仕事したんだからまぁ安いもんじゃないでしょうか。インフルエンザを発症してしまえば最低5日間は家で休むのを余儀なくされますし、小児や高齢者であれば死に至る可能性もあるわけですから。

 

先に紹介したように、1人のインフルエンザ発症を防ぐのに医療者は1本のワクチンを打てば良いのではなく、平均20人に(罹患率10%で効果が50%なので1÷0.1÷0.5)のワクチンを打つ必要があります。なぜ今回ワクチンを啓蒙すると医療提供者が儲かるかというと、これはワクチンを打たなくてもインフルにかからない90%の層をターゲットにしてるからですね。

 

それでは、ワクチンを啓蒙すると逆に医療提供者が損する場合はどういう時でしょうか。これは、インフルエンザの罹患率が高いときになります。なぜなら、ワクチンの無駄打ち(将来ワクチンを打たずともインフルにかからないのに、ワクチンを接種知るケース)が少なくなるのと、ワクチンの予防効果で本来受診するはずの患者数が大きく減ることにより診療利益が抑えられてしまうからです。今回のモデルではワクチン全員未接種の場合の罹患率が10%と設定していますが、この罹患率が上がるほど上のグラフの正の傾きが緩やかになっていき、罹患率が80%よりも高くなるとワクチンをすすめるほど医療者の総利益(ワクチン利益+インフル診療利益)が減っていくという逆の結論に至ります。

 

罹患率は10%と変わらないとして、ワクチンを啓蒙すると医療提供者が損するケースはあるでしょうか。答えはあります。例えば1人あたりワクチン接種の利益が250円より低かったり、1人あたりインフル受診利益が40000円より高かったりする場合などがそうです。もっと一般化して言うと、インフル診察の利益がワクチン接種利益の20倍である場合(今回のモデルは5000÷2000=2.5倍なのでワクチン推奨で医療提供者は得する)ワクチン啓蒙すると医療提供者の利益は減っていくことになります。

 

 

この検証にはいろんな限界がありますが大きくは下記4点でしょうか。

1.年代によって接種率も効果率も発症率、利益率にばらつきがある

2.診療所と病院ではワクチンや受診の利益額が若干異なる

3.年に2回以上の発症とか、インフル後の合併症は無視してる

4.ワクチンを打つほど罹患割合が減り、打たないほど罹患割合は増えるがそれは無視してる

 

ですが、だいたいの推計はできてるんじゃないかと思います。どなたが、ガチで計算してくれると僕は仲間が増えたようで嬉しいです。

 

 

最後に、

現場のお医者さんはこんなことは普通考えてないと思うので、インフルワクチン打ちましょうといわれたらそれは単に医師の良心から出た言葉に違いないと思っています!

 

そいじゃね。 

 

 

 

<参考>概算のための数値はこちらから。

 インフルエンザ罹患数:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/siryou3_4.pdf

ワクチンの予防効果:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

ワクチン接種率 https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/2016/11/441r04f01.gif